実務Q&A 平成24年2月号
『秘密保持義務に違反するか? ~個人情報が流出~』
Q.従業員の情報が一部流出し、退職社員の関与が疑われています。営業の幹部社員であったので、退職時には秘密保持に関する誓約書を取ってあります。現在のところ、直接的な被害はないようですが、問題が拡大した場合、誓約書に基き責任を問えないでしょうか。
A.誓約書中に明文規定を
不正競争防止法では、営業秘密を「秘密として管理されている事業活動に有用な情報であって、公然と知られていないもの」と定義しています。営業秘密に該当しない情報については、「退職後、当然に秘密保持義務があるわけではなく、原則として契約上そのような義務の設定が必要」と解されます(荒木尚志『労働法』)。実務上も、幹部社員等を対象に誓約書の提出を求める企業が少なくありません。
従業員等の個人情報は、営業秘密とは別次元のものですから、誓約書中に在職中知り得た取引先情報等のほか、個人情報の守秘義務も定め、同意をとる必要があります。個人情報保護ガイドラインでも「非開示条項は契約終了後一定期間有効であるようにするのが望ましい」と述べています。
『定年後も傷病手当金が出るか? ~資格継続後の継続給付~』
Q.定年間近の社員(男性)が病気となり、長期にわたる入院が予想されます。本人は、「会社に迷惑をかけたくない。このまま退職したい」と言っています。仮に退職したとしても、資格喪失後の継続給付により1年6ヵ月傷病手当金の受給が可能と思いますが、そう説明して間違いないでしょうか。
A.老齢年金の受給が始まれば調整
資格喪失の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者が、資格喪失時に傷病手当金を受けていれば、退職後も引き続き手当金を受給できます。しかし、お尋ねの方が昭和28年4月1日以前の生まれで間もなく60歳に達するとすれば、その
時点から60歳前半の老齢厚生年金のうち報酬比例部分の支給が開始します。
傷病手当金の資格喪失後の継続給付は、「国民年金法、厚生年金保険法等に基づく老齢・退職を事由とする年金を受けることができるときは、傷病手当金を支給しない」と規定されています(健康保険法第108条)。年金の額が傷病手当金の額より少ないときは、差額が支給されます。
退職後の継続給付を受けていても、老齢厚生年金の支給が始まれば、傷病手当金は調整の対象となります。
提供:労働新聞社