実務Q&A 平成26年8月号
『事後証明命じて良いか ~急な介護休暇の申出』
Q.家族を介護している社員が介護休暇を取得する際、当日電話連絡で申し出てくることがよくあります。急な容体の変化などに対応することを考えるとやむを得ないとは思いますが、管理上介護のために休暇を取得した証明を提出してもらうことも検討しています。こうした措置には問題があるでしょうか。
A.過大な負担でなければ可能
原則年5日まで取得可能な介護休暇の申出は、対象家族が要介護状態にあることと、休暇を取得する日を明らかにして行います(育児・介護休業法第16条の5)。しかし現実には、当日になって休む必要が生じる場合も考えられます。子の看護休暇や介護休暇は、当日に電話など口頭で申し出ることも可能です(平21.12.28雇児発1228第2号)。
休暇を申し出た労働者に対し、これらの事実を証明できる書類の提出を求めることもできます。ただし前記の通達によると、労働者に過大な負担をかけないもので、提出を拒んだとしても休暇の申出には影響を及ぼさないとされています。また証明する書類として、子の看護休暇では病院の領収書などが例示されていますが、介護休暇で想定されているのは対象家族の要介護状態や同居・扶養の事実についての書類で、「世話を行うこととする事実」については対象外です。
『個室は保険適用外? ~一般病棟の空きなし』
Q.緊急入院した病院で内科的手術後まもない時期に、「症状は回復傾向のためベッドの空きを確保したい」と打診されました。退院には不安があると伝えたところ、個室なら空きがあるといいます。保険は適用されるのでしょうか。
A.患者から希望した場合のみ
病気やケガをしたときは原則として医療費の3割を負担して必要な治療を受けることができます。個室の入院など被保険者が自ら選択する選定療養は保険外診療ですが、保険診療との併用が認められています。療養の給付に相当する部分は健康保険法86条の保険外併用療養費が支給され、それ以外の部分は自費で支払います。
選定療養の対象となる個室とは特別療養環境室といわれ、1.病床数は4床以下、2.面積は1人当たり6.4平方メートル以上、3.私物の収納設備を有するなどの条件を満たす病室としています。
提供:労働新聞社