実務Q&A 平成25年10月号
『駐在員を特別加入か ~海外の政情不安が心配』
Q.中東・アフリカ等で政治が不安定化し、現地駐在員の安全等が懸念されるケースも想定されます。労災保険では、海外派遣者の特別加入という仕組みがあります。「虫がよすぎる話」ですが、既に現地赴任している従業員を対象として、後から申請することも可能でしょうか。
A.新規派遣者に限らない
労災保険の適用範囲は日本国内ですから、海外派遣で働くときは、原則として保護の対象から外れます。このため、海外派遣者を対象とする特別加入制度が設けられています。
しかし、特別加入制度は強制ではなく法で定める条件に該当する者(保護が必要な労働者等)に限り、所定の手続きを経たうえで加入を認める仕組みです。一般企業の海外派遣については、「法律の施行地外の地域において行われる事業に従事させるために派遣する者」と定義されています。
「派遣する者」の範囲には、「新たに海外に派遣する人に限らず、すでに海外の事業に派遣されている者」も含まれます(厚生労働省パンフレット)。
『育児時間も必要? ~時間短縮との併用に』
Q.1歳未満の子がいる従業員に短時間勤務制度を適用しています。急病などで保育園へ迎えに行くときには早退扱いにせざるを得ません。このほど「育児時間」の請求がありましたが、併用を認めるべきですか。
A.勤務終わりでも付与を
短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むものでなければなりません。短縮後どのように始業・就業時刻を設定するかは就業規則などの定めによります。
育児時間については、労働基準法第67条で定められています。生後満1歳に達しない生児を育てる女性は、1日2回各々少なくとも30分、生児を育てるための時間を請求することができるとしています。育児時間中、使用者はその女性を使用してはなりません。
通達(平21.12.28雇児発1228第2号)では、「育児時間と所定労働時間の短縮措置は、その趣旨及び目的が異なることから、それぞれ別に措置すべきもの」としています。
託児所の施設への往復時間も含めて30分の育児時間が与えられていれば違法ではないとする解釈があります。勤務時間の始めまたは終わりに請求してきたとしても、与える必要があるとされています。
提供:労働新聞社