実務Q&A 平成25年11月号
『海外でケガ、給付は? ~家族も療養費の対象か』
Q.連休を利用して、家族で海外旅行を計画している従業員がいます。仮に旅先でケガをした場合、家族も療養費の対象になると考えて良いでしょうか。
A.必ず7割戻るわけではない
健康保険の被保険者や被扶養者が業務外の事由により病気やケガをしたときは、厚生労働大臣の指定を受けた病院や診療所などの保険医療機関に保険証を提出し、一部負担金を支払うことで治療を受けることができます。
海外でケガをして治療費全額を立替払いしたときは、後で「療養費」として費用の一部を申請することができます。被保険者だけでなく被扶養者にもこれが準用されます。
家族が保険診療を受けた場合、自己負担額は、小学校入学以後70歳未満までは原則3割です。ただし、海外で病院にかかったときに、療養費として治療費の7割が必ず戻ってくるわけではありません。日本と海外では、診療費用も異なるのが一般的でしょう。比較して低額な方の総費用で療養費を算出します。保険者は、保険診療を受けた場合を基準に計算した額から自己負担額を差し引いた額を払い戻します。日本で同じ治療を受けた場合の治療費が少なければ、その7割しか支給されません。
『パートを不利益扱い? ~就業規則改正に異議』
Q.就業規則改正の際、「パートの過半数代表者」の意見を聴取する手続きが採られました。ベテランの私が代表として一部の修正を求めたところ、後で上司から「出過ぎた行為」と叱責を受けました。仮に次年の昇給等で不利益な査定を受けても、文句を言えないのでしょうか。
A.法ではなく指針で禁止
就業規則の変更に際し、使用者は過半数労働組合(ないときは過半数代表者)の意見を聴取する必要があります(労働基準法第90条)。実務的に言えば、過半数代表者は正社員の中から選出されるのが一般的です。労働基準法に基づく「過半数代表者」については、労働基準法施行規則で「過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由」とする不利益取扱いを禁じています。
一方、パートの労働条件に関わる事項については、前記の全労働者の代表のほか、「短時間労働者の過半数代表者」の意見を聴く努力が課されています(パートタイム労働法第7条)。こちらは、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針」の中で、「過半数代表者を対象とする不利益取扱いの禁止」を規定しています。
提供:労働新聞社