東京都新宿区の社会保険労務士事務所

実務Q&A

2014年9月16日

実務Q&A 平成26年9月号

『130万円で区分か ~扶養以外は被保険者?』

Q.定年後短時間勤務を希望する女性から「年収130万円以上は健康保険の被扶養者になれず被保険者になるのか」と聞かれましたが、どのように説明すればいいのでしょうか。

A.加入要件違い国保に加入も
 60歳以上の者で、退職後継続して再雇用される者については、被保険者資格の得喪を行ったうえで原則として被保険者資格を継続する扱いとなっています。ただし、適用除外となれば、被保険者資格を喪失します。
 年収130万円未満(60歳以上は180万円未満)であることが求められるのは、「被扶養者」の要件です。さらに、被保険者の年収の年収の50%未満であることが条件です。
 被扶養者になれないからといって、被保険者になるわけではありません。原則として、1.1日(または1週間)の所定労働時間、2.1ヵ月の所定労働日数が一般の正社員等の4分の3以上である場合には被保険者として扱われます。年収180万円以上であっても被保険者の要件を満たさない場合は、国民健康保険に加入することになります。


『時間外労働になるのか ~技術習得の研修や自習』

Q.業務に必要な技術習得のための研修がよく終業時刻を超えてしまいます。居残って勉強する社員もおり、熱心なのはありがたいのですが、際限なく残業が増えてしまわないか心配です。どのように考えるべきなのでしょうか。なお、当社は労働基準法36条に基づく協定(36協定)の締結・届出を行っております。

A.任意参加なら時間外とせず
 使用者が就業時間外に行う教育訓練が時間外労働に当たるかどうかに関して、労働者が参加しない場合に「就業規則上の制裁などの不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならない」と解されています。使用者が実施する研修でも、参加を労働者の裁量にゆだねていれば労働時間にならず、使用者の指示とは関係なく行う自習も時間外労働としなくて良いことになります。
 ただし最近、技術習得を長時間行った労働者が自殺し、当該自習時間を時間外労働と同視して使用者の安全配慮義務違反を認めた判例がありました(医療法人甲会事件 札幌高判 平25.11.21)。労働者の自由な意思でもそれが業務上の必要に迫られたもので、結果的に過重労働となり心身の健康を損なった場合は労務管理上の責任を問われ得るので、時間外労働でなくとも使用者は業務の実態を把握しておく必要があると考えられます。

提供:労働新聞社

 

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